歯医者で歯周病と診断されたら、適切な治療を受ける必要があります。歯周病は自然に治ることがない病気で、重症化させると歯を失うだけでなく、全身疾患を誘発することがあるります。
歯周病については「「歯周病」はなぜ怖い?歯を失う原因1位の病気を知ろう」をぜひあわせてご確認ください。
今回はそんな歯周病の治療期間や流れ、具体的な内容について愛知県の日進かぐやまデンタルクリニックがわかりやすく解説をします。
▼歯周病の治療期間は重症度によって変わる?
ひと言で歯周病と言っても、個々のケースで重症度が大きく変わります。そこでまずは歯周病を歯肉炎と歯周炎の2つに分けて考えてみましょう。
【歯肉炎】1~2ヵ月程度
歯肉炎は、炎症反応が歯ぐきだけにとどまっている段階で、歯周病の中でも軽症です。
しかも歯肉炎では、歯周組織の破壊が起こっておらず早期に治療を行うことで、歯ぐきを元の状態へと戻すことができます。歯周病治療にかかる期間も1~2ヵ月程度と比較的短いです。
【歯周炎】3~12ヵ月程度
炎症反応が歯根膜(歯と骨(歯槽骨)の間にある薄い膜)や歯槽骨まで広がり、歯周組織の破壊が始まるのが「歯周炎」です。
この段階になると、歯ぐきや顎の骨の状態を歯周病治療で元に戻すことが難しくなるため、できれば歯肉炎で完治させておくのが望ましいです。歯周炎を歯周病治療で治す期間は、重症度に応じて変わります。
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軽度歯周炎:2~4ヵ月程度
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中等度歯周炎:3~6ヵ月程度
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重度歯周炎:6~12ヵ月程度
上記の歯周病治療の期間は、あくまで目安です。実際は、患者様の通院頻度やセルフケアの状況、歯並び・噛み合わせの状態などによって大きく変動します。
▼歯周病治療の内容
次に気になるのが歯周病治療の内容ですね。歯周病は細菌感染症なので、お口の中の細菌の数を減らすことが歯周病治療の主な目的となります。
◎スケーリング(歯石除去)
歯周病治療のメインとなるのは、スケーリングと呼ばれる歯石を除去する処置です。歯の表面に付着した歯石をスケーラーという先端が鋭利な器具を使って削り取ります。
歯石は、歯ブラシによるブラッシングで取り除けないことから、歯科医院でスケーリングを受ける必要があるのです。
◎SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
SRPは、スケーリングに加えて、ルートプレーニングも行う処置です。ルートプレーニングとは、歯根面を清掃して滑沢にする処置で、深い歯周ポケットが形成された歯周炎で必要となります。
歯周ポケットの奥深くまでスケーラーを挿入することから、施術時には出血を伴いますが、痛みは感じません。なぜならSRPを行う際には必ず局所麻酔を施すからです。
◎歯周外科処置
スケーリングやSRP、歯のクリーニングなどは「歯周基本治療」に分類されます。こうした基本治療で改善が見込めない歯周病に対しては、「歯周外科処置」が適応されます。
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フラップ手術
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歯周組織再生療法
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歯肉切除術
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遊離歯肉移植術
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結合組織移植術
これらは歯周外科処置の一例であり、その他にもさまざまな種類があります。どの歯周外科処置が適応されるかは、患者様の歯周組織の状態によって変わります。
▼歯周病治療の流れ
最後に、歯周病治療の流れを簡単にご説明します。
【STEP1】検査・診断
はじめに、歯周組織検査を行って、歯周ポケットの深さ、歯ぐきからの出血の有無、歯の動揺度(歯のグラつき)などを調べます。
レントゲン撮影を行うことで、顎の骨が破壊されているかどうかも確認できます。その結果を踏まえて診断を下し、歯周病治療の計画を立てます。
【STEP2】歯周基本治療
クリーニング、スケーリング、SRP、ブラッシング指導などを実施して、歯垢・歯石のない口内環境を確立します。
【STEP3】再評価
歯周基本治療が一通り終わったら、改めて歯周組織検査を行って再評価します。歯周病の症状が消失し、病態が安定したらメンテナンスへ移行します。
十分な治療効果が得られていないと判断した場合は、再び歯周基本治療に戻るか、歯周外科処置へと移行します。
【STEP4】歯周外科処置
フラップ手術や歯周組織再生療法などを実施して、重症化した歯周病を治します。
【STEP5】メンテナンス
歯周病治療によって歯ぐきや歯槽骨の炎症がなくなり、歯周ポケットの深さも改善されたら、メンテナンスで定期的な検診を行っていきます。
▼まとめ
今回は、歯周病の治療期間や内容、治療の流れについて、愛知県の日進かぐやまデンタルクリニックが解説しました。
歯周病治療は、細菌の温床となる歯垢や歯石を取り除き、患者様がその状態を維持できるようにするものです。重度の歯周病では半年から1年の治療期間を要することもあるでしょう。
ただし、歯周病を早期発見・早期治療できれば、治療期間も大幅に短縮できますので、歯ぐきの腫れや出血に気づいたらすぐ歯科を受診するようにしましょう。