子どものむし歯予防に欠かせない仕上げ磨き。歯みがきを始めたばかりのお子様は、手先の動きも不十分で、どうしても磨き残しが多くなってしまいます。
そこで必要になるのが、保護者の方による仕上げ磨きですが、「何歳までやるべきなのか」「年齢に応じたやり方がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は、仕上げ磨きの重要性や年齢別のポイント、当院がご案内している終了時期について、詳しく解説いたします。
■子どもの仕上げ磨きの重要性
乳歯や生えたての永久歯は、歯の表面のエナメル質が薄く、むし歯になりやすい性質があります。とくに就学前の時期は、自分で歯をしっかり磨くのが難しく、どうしても汚れが残りやすいため、保護者の方の手によるサポートが必要です。
また、小学校低学年ごろまでは、まだ自分の歯に対する関心が薄く、歯を丁寧に磨くという意識も未熟なため、磨き方の癖がつきやすい時期です。この段階で仕上げ磨きを通じて正しい歯みがきの感覚を身につけることが、将来のお口の健康を守る土台となります。
さらに、仕上げ磨きは、口腔内の変化を早期に発見するチャンスでもあります。歯の異常や歯ぐきの腫れ、出血など、むし歯や歯周炎の初期症状を見逃さないためにも、日々の仕上げ磨きは大切な観察の機会となります。
■子どもの仕上げ磨きのコツ(年齢別)
次に、子どもの仕上げ磨きのコツを年齢別に解説します。
◎1〜2歳
1〜2歳は、乳歯が生え始め、徐々に生える本数が増えていく大切な時期です。この時期のお子様は、まだ歯みがきに対する理解がほとんどなく、違和感や不快感から嫌がることも珍しくありません。大切なのは、歯みがきを“楽しい時間”として感じてもらうことです。
無理に口をこじ開けて磨こうとすると、歯みがきそのものに苦手意識を持ってしまう可能性があります。保護者の方が優しく声をかけながら、好きな音楽を流したり、絵本やぬいぐるみを活用したりして、遊びの延長のような感覚で取り組みましょう。
仕上げ磨きは、膝の上に頭をのせてあげる「寝かせ磨き」がおすすめです。短時間で済ませることを意識し、まずは“慣れる”ことを目的に進めてください。
◎3〜5歳
3〜5歳になると、乳歯が生えそろい、食べ物の種類や量も増えてきます。その分、むし歯のリスクも高まる時期です。この頃にはお子様が自分で歯みがきをするようになりますが、まだ歯ブラシを繊細に使うことが難しく、磨き残しが生じやすいです。
この時期に重要なのは、保護者の方が丁寧な仕上げ磨きで補ってあげることです。特に奥歯の噛み合わせ部分や、歯と歯のあいだ、歯と歯ぐきの境目は、汚れがたまりやすいポイントです。
毛先がやわらかく小ぶりな歯ブラシを使い、1本1本の歯をやさしく、小刻みに動かしながら磨いてあげてください。
また、「磨く時間=親子のふれあいの時間」としてポジティブな雰囲気を保つことが、継続のコツになります。
◎6〜8歳
6〜8歳は、乳歯から永久歯への生え変わりが進む時期です。特に最初に生えてくる永久歯である6歳臼歯(第一大臼歯)は、むし歯になりやすい歯のひとつとされています。
その理由は、溝が深く汚れがたまりやすいにもかかわらず、完全に生えるまでには相応の期間がかかるからです。その間はお子様によるブラッシングも不十分になってしまうことがあります。
この時期には、お子様自身に歯をきちんと磨く習慣と意識を育てていくことが大切ですが、完全に任せきりにせず、保護者の方が「仕上げ」と「確認」を並行して行うことが推奨されます。
毎晩寝る前に、まずは自分で磨いてもらい、そのあとで大人がチェックと仕上げをするという流れをつくると、責任感や達成感が育ちます。
また、仕上げ磨きでは引き続き、奥歯や歯と歯の隙間を念入りに磨くようにしましょう。デンタルフロスを併用するのも、この時期からおすすめです。
◎9〜12歳
9歳を過ぎると、永久歯がすべて生えそろい始め、口腔内はほぼ大人と同じ構造になります。一方で、見た目はきれいに磨けているように見えても、歯と歯のあいだや歯ぐきの境目に汚れが残っていることは少なくありません。
また、歯間ブラシやデンタルフロスの使用方法も教え、将来にわたってお口の健康を自分で守れるようにサポートしましょう。「もう大きいから一人でできる」と任せきりにせず、最後の仕上げ磨き期として丁寧に付き合っていくことが、お子様の健康な歯を育てる基礎となります。
■子どもの仕上げ磨きはいつまで?何歳まで?
日進かぐやまデンタルクリニックでは、お子様が12歳になるまでは仕上げ磨きまたはチェックを続けることを推奨しています。
その理由は、小学校高学年で「磨けているつもり」でも、実際には磨き残しが多いケースがよく見られるためです。特に、生えたばかりの永久歯は歯質が未成熟でむし歯になりやすく、奥歯の溝も深いため、十分なケアが必要です。
また、仕上げ磨きは歯を清潔に保つだけでなく、お子様にとっての“お口の健康への関心”を育てる時間でもあります。12歳頃までは、保護者の方が見守りつつ、少しずつお子様の自立を促すように仕上げ磨きを続けることで、将来的に歯みがきの重要性を理解し、自分で管理できるようになることが大切です。
▼まとめ
今回は、子どもの仕上げ磨きはいつまで、何歳までやるべきかという疑問にお答えするとともに、年齢別の仕上げ磨きのコツをご紹介しました。
仕上げ磨きは、子どもの歯を健康に保ち、将来のむし歯予防にもつながる大切な習慣です。年齢に応じて方法を工夫しながら、小学校高学年までを目安に継続していくことで、正しい歯みがき習慣を身につけることができます。
そんな子どもの仕上げ磨きについて不安や疑問に思う点があれば、いつでもお気軽に日進かぐやまデンタルクリニックまでご相談ください。