多くの人が一度は悩まされる親知らず。
専門的には第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)と呼ばれ、れっきとした永久歯のひとつなのですが、さまざまなお口のトラブルを引き起こす原因になることから、抜歯せざるを得ないケースが多いです。
今回はそんな親知らずを抜く必要があるケースと抜かないで済むケースについて、愛知県の日進かぐやまデンタルクリニックが詳しく解説をします。
親知らずを抜く・抜かないという問題に直面している方は、このコラムを参考にしてみてください。
目次
▼親知らずの生え方のパターン
なぜ第三大臼歯である親知らずだけが抜歯を検討しなければならないのか。それは他の永久歯と生え方が異なるからです。
1~7番目までの永久歯は、正常に生えてくるのが一般的ですが、親知らずの場合は以下に挙げるような生え方のバリエーションがあります。
【パターン1】半分埋まっている
半埋伏(はんまいふく)という半分が歯茎に埋まった生え方は、親知らずでよく見られます。歯が生えるスペースが不足していることから、歯の頭の部分である歯冠をすべて出すことができないのです。
【パターン2】真横に生えている
真横に向かって生えている親知らずは、手前の歯を圧迫しやすいです。真横に向いている場合は、パターン1の半埋伏やパターン3の完全埋伏の症状を伴いやすいです。
【パターン3】完全に埋まっている
親知らずが歯ぐきの中に完全に埋まっている完全埋伏は、厳密にいうと生えていません。そのため完全埋伏の親知らずを確認するには、レントゲン撮影が必要となります。
◎定期的なレントゲン撮影がおすすめ
親知らずの生え方や埋まり方が気になる方は、歯科医院で定期的にレントゲン撮影を受けましょう。特別な症状が見られなければ1年に1回くらいの頻度で構いませんので、お口全体のレントゲン撮影を行い、親知らずを含む歯列全体の健康状態をチェックしましょう。
▼親知らずで抜歯が必要なケース
親知らずを抜いた方が良いのは次のようなケースです。
【ケース1】親知らずがむし歯や歯周病になっている
親知らずがむし歯や歯周病になっていて、重症度が比較的高い場合は、抜いた方が予後も良くなりやすいです。
なぜなら親知らずは磨きにくい位置にあり清掃性が悪いことから、通常のむし歯治療や歯周病治療を行ってもすぐに再発する傾向にあるからです。
ちなみに、親知らず特有の歯周疾患を「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼び、重症化しやすく、周囲の歯にも感染が広がりやすいことから、多くのケースで抜歯が推奨されます。
【ケース2】親知らずが手前の歯にダメージを与えている
親知らずが斜めや真横に生えていて、手前の歯の根っこを吸収させているようなケースは、早急に抜いた方が良いといえます。手前の歯は一生涯使うかけがえのない永久歯なので、その寿命を縮めるようなリスクは取り除く必要があります。
【ケース3】歯並び・噛み合わせを乱している
悪い生え方の親知らずが原因で、全体の歯並び・噛み合わせが乱れている場合は、親知らずの抜歯を検討する必要があります。歯列矯正を行う場合は、高い確率で親知らずを抜くことになります。
【ケース4】親知らずに嚢胞ができている
完全埋伏している親知らずには、含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)という膿の塊ができることがあります。そのままの状態で放置していると、病変が広範囲に波及するおそれがあるため、親知らずと嚢胞を外科的に除去しなければなりません。
▼親知らずで抜歯が不要なケース
次に挙げるケースは、親知らずを無理に抜く必要はないといえます。
【ケース1】真っすぐ生えていて歯みがきがしやすい
真っすぐ正常に生えていて、清掃性も問題がない親知らずは、無理に抜く必要はありません。将来、手前の歯を失った時には親知らずをブリッジの支えとなる支台歯として使えますし、その他の歯を失った場合でも移植歯として活用できる場合があります。
【ケース2】噛み合わせも問題ない
生え方に少し問題があっても、しっかりと清掃でき、噛み合わせにも問題がない場合は、抜かずに残しても良いでしょう。生え方や噛み合わせなどは自己判断せず、歯科医師に相談することがおすすめです。
【ケース3】完全に埋まっている
完全埋伏の親知らずは、嚢胞ができたり、手前の歯を圧迫したりしない限りは、抜かずに経過を見ていきます。
◎親知らずを抜くメリットは?
親知らずを抜くと、次のようなメリットが得られます。
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歯みがきしやすくなる
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手前の歯の健康を維持しやすくなる
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全体の歯並び、噛み合わせに悪影響が生じなくなる
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親知らずによる痛みや不快症状に悩まされなくなる
親知らずを抜くことで得られるメリットはケースによって異なりますが、基本的にはメリットがデメリットを上回る場合のみ、歯科医師から抜歯が提案されます。
▼まとめ
今回は、親知らずを抜く・抜かないの判断基準について、愛知県の日進かぐやまデンタルクリニックが解説しました。
親知らずはすべてのケースで抜かなければならないというわけではなく、残した方が良いケースもあります。
そんな親知らずの抜歯の要否や生え方の状態などが気になる方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。適切な検査を行った上で、最善と言える方法をご提案します。